2022/11/09
Schott(ショット)の代名詞である「ONESTAR RIDERS (ワンスター ライダース)」が誕生してから約半世紀が過ぎた現在、いまだに色褪せることなくライダースジャケットの定番として常にそこにあるマスターピース。そんなアイコンジャケットを、いま活躍しているONESTAR MAN & WOMANに着用してもらい、各々のライフスタイルを背景としたスペシャルインタビューを敢行した。
シーズンⅡ、第5回目のゲストは、初代仮面ライダー「本郷猛」役で日本人ならば知らない人はいないと言っても過言ではない日本を代表する俳優であり、武道家や探検家など多くの肩書を持つ「藤岡 弘、」さんと、その藤岡さんの長男で俳優でありながら、その端正な顔立ちと日本人離れしたスタイルでモデルも兼業する「藤岡 真威人」さん。親子二人でのファッションスナップは初めてという、貴重な写真撮影になった今回。ライダースジャケットが似合い過ぎる親子がONESTAR RIDERSを身に纏い、自身やレザーにまつわる話を聞かせてくれた。
以下、藤岡 弘、さん=(弘、) 藤岡 真威人さん=(真)
-どんなシーンでレザージャケットを着用しますか?
弘、)革ジャンは実用的だから、必要に応じて身に付けることが多いですね。万が一転んだ時に怪我の程度を軽くしてくれるからバイクに乗っているときは最高ですよ。革ジャンとデニムパンツは最強だね。昔の鎧って、関節の可動部分にレザーを使って動きやすさと強度を高めるんですが、現代で鎧は着られないからね。現代版の鎧という感じですかね。
-アメリカに関してのエピソードがあれば教えてください。
弘、)アメリカと言えば、僕はその当時では珍しく、全米映画俳優組合にメンバーとして迎えてもらえました。アメリカ映画に出演することが私の夢でもあったので、嬉しかったのを覚えています。覚悟はしていたのですが、色々とシステムの違いを感じて、不安で心配な面もありましたが、単身でオーディションに挑み、映画の主演が決まりました。武道的な経験が後押ししたのかもしれません。
幼いころからの古武道要素を父や恩師から学び、刀や馬の「実」を再現できることもあり、撮影現場では「サムライ」と呼ばれ、気持ちよく仕事が進みました。私の思う「実を以て虚となす」ということが役に立った感じです。「実=体験や経験したこと」は「虚=演技」に活きる。リアルな表現というか本物を知っていると迫力が違う。それは画面を通しても分かると思います。
-藤岡さんがイメージするショットとは?
弘)やっぱり革ジャンですよね。アメリカに行っているときに、革ジャンを着ていました、ジーンズも一緒に。どちらもしっかりしていて、安心感がありますから。実用的ですよ革ジャンは。
真)レザーとかバイクのイメージですね。車に乗っていて、対向車線を走ってくるバイクに乗っている人が来ている革ジャンを見てカッコいいな、と思っていました。大学の先輩とかもたまにレザージャケットを着ているのを見かけるので、ショットかどうかは分かりませんが、いつかは着てみたいなと思っていました。父がたくさんレザージャケットを持っているので、いつか継承してくれるかな?と密かに狙っていたりします(笑)。
-ONESTARのコーディネートにマストなアイテムを教えてください。
弘、)このベルトとネックレスかな?これは職人さんが手作りで作ってくれた一点もので、スティングレイの革を使っているんだけど、大きいエイから取ったもののようで、ハギがないんですよ。あとは今付けているネックレスも特別なもので、本物の熊の爪を使ったオリジナルのデザインです。
真)僕が16歳の誕生日のときに、父と同じデザインのネックレスをプレゼントしてもらいました。なので、世界に2個しかない大事なネックレスです。父との親子のつながりを感じる思い出のアイテムだから、すごく大切にしています。ハードなデザインだけどレザーを着る時にはちょうどいいかなと思いました。
-ファッションでのこだわりがあれば教えてください。
弘、)革ジャンとジーンズは最強のファッションですね。時代が作った実用的なアイテムですよ、これは。デザインはもちろん進化して変わっているだろうけど、長年作り続けている定番と言われているものは古さを感じないからずっと着られますね。
真)普段はカジュアルでライトな服が多いのですが、これからはこういった男らしいスタイリングもしてみたいです。
-バイクにまつわるお話があれば教えてください。
弘、)僕は初代仮面ライダーの主人公である「本郷 猛」を演じさせてもらいました。当時の現場の特撮は、スタントマンを使う方向ではなかったような気がするんですよ。当時、バイクに乗っている仮面ライダーは自分自身が乗り、仮面ライダーのバイクは「サイクロン号」という小道具さんが作ってくれた改造バイクで、昭和40年だからか、安全性などはあまり考慮していなかったです(笑)。
元となるバイクに色々と装飾とかパーツを足しているから重量をオーバーしていて、中心のバランスが崩れて、不安定で危険な状態と同時に、当時の撮影現場は路面が悪く、砂利が散乱して最悪の状態でした。それゆえに撮影中にスピードをコントロールできなくなり、カーブを曲がり切れずガードレールに突っ込む大事故が起きてしまいました。九死に一生を得て命拾いをしましたが、その時の衝撃は鮮明に焼き付いています。
怪我ですか?酷いものでした。大腿骨が折れて背中側に自分の足があるのが分かったんです。無意識に足の位置をもとに戻してから気を失いました。最初の病院では今までの手術方法では完全回復は不可能な状態で、他の病院に転院し、日本での施術例のないベトナム戦争でアメリカ軍が負傷兵に行っていた手術を行うしか方法はなく、さらには、元に戻るかどうかは分からない、と言われていました。奇跡的に手術は成功したものの、リハビリが過酷で、骨の真ん中に折れた骨を固定するための鉄のパイプが入っているため、リハビリをするたびに高熱が出ていました。
しかし撮影に戻りたい一心で、必死にリハビリに取り組みました、毎日高熱を出しながら。その苦労が実って、退院することができたんです。それで無理して撮影に復帰したのですが、事故の恐怖が心に焼き付いているから、撮影再開後のバイクシーンには恐怖が走りましたね。さらに、アクションシーンだから、激しく動いている間に、いつの間にか傷口も開いてきて、足に入っているはずの棒が、傷口の端から飛び出してきて出血し、流れ出る血を拭き、止血のためテープでグルグル巻きにして、スタッフには気づかれないように撮影に参加していました。それくらい当時から真剣に向き合ってきました。
真)バイクについては、この壮絶な事故の話やアメリカでの話をいつも父から聞いているので、事故は怖いという意識は普通の人よりも強いと思いますが、やっぱり乗ってみたいですね。父を見ていると、馬にもバイクにも乗れて、そのことがアクションシーンや演技にリアリティを与えていると、それこそ「実を以て虚をなす」を体現しているのを目の当たりにしているので、何事も経験して役者としてのスキルにしていきたいですね。父と二人乗りとかはしたことがないので、今後バイクに乗れるようになったら、一緒に走ってみたいですね。
-今後の展望をお聞かせください。
弘、)僕は若いころから世界を旅してきて、今まで民間ボランティアの理事として飢餓や紛争、災害が起きた国を訪れ、できる限りの支援と救済をメンバーと共にしてきた。そういった国をこの目で見たからこそ思うのは、日本はなんて恵まれた国なんだろう、ということです。
戦争に負けて他国に支配された国、資源がなく子供たちが満足に水や食事もとれない、災害が起きて無法地帯になり犯罪が横行して、まともに街を歩けないような国はたくさんあります。それゆえに危機感のない今の日本を憂いています。世界の情勢は混迷していて、安全なはずの日本ですらどうなるか分からない状況です。
いつも最悪の事態を想定した心構えを持ち、サバイバルの技術を身に付けることにより、生き残れるチャンスが増える。スマホやインターネットに頼りきりの今の日本社会では、何か事が起き災害で電気が通らなくなったらどうするか。そうならないよう、最低限の気構えと多面的な対応力を見つけるべきではないか。ともに助け合い、共存、共栄、共生を考えるべきでしょう。
今後もできる範囲は限られますが、日本だけではなく、世界に友情の種を蒔くことが、重要ではないかと思っているので、体が動く限りは視野広く社会に未来に向かって貢献し活動し続けたいですね!
真)まずは自分ができるお仕事はやらせていただき、色々なことを経験、吸収して俳優としての厚みや存在感が伝わればと思います。まだ大学にも通っているので、限られた時間の中でしかできないのですが。僕の場合は父という大きな先輩が身近にいて、学ぶべきことが多いので、時には叱られながらも「虚」となる「実」を何事も体験するつもりです。
弘、)真威人とは親子ですが、仕事に関してはプロとして厳しく指導していますよ。時には甘えの中で議論することもありますが、メリハリが大事なので、しっかり締めるところは締める、子供には自分自身の可能性を信じ刺激を与え挑戦し、失敗しても挑み続ける姿勢が大事ですから。馬にも乗れるようになってもらって、親子で乗馬する役なんて来るといいですね。
真)父と馬に乗って時代劇に出演させていただくのは夢ですね!実現できるよう挑戦し続けます!
弘、)まずは日本の伝統的な真剣の使える武道的なセンス、古武道的実践的な総合武道かな・・・(笑)。
今回は藤岡さんがプライベートで所蔵する本物の鎧兜や刀、槍や鉄扇などが飾られた、隠れ家的な庵で特別に取材をさせていただいた。登場から「藤岡 弘、」さんの圧倒的な迫力に押され気味だったが、長男である「藤岡 真威人」さんの爽やかな雰囲気が、中和剤となり、終始和やかな雰囲気でお話を聞くことができた。
日本だけではなく、世界を憂う熱くて重みのあるお話を「藤岡 弘、」さんが、あの強い眼力で話始めると、滲みでるオーラに圧倒されて、メモを取ることもできなくなるくらいのプレッシャーを感じていたが、真威人さんが話始めたり、ご家族の話になると、今までとは真逆の穏やかな優しい笑顔で、うんうんと頷きながら目を細めていた、急に家族愛に満ちた父親に戻るギャップがとても印象的で、家族だけではなく、人類を愛そうとする「藤岡 弘、」の大きさを感じずにはいられない取材だった。
【藤岡 弘、オフィシャルサイト】
http://samurai-hiroshi.com/